月光寺で最も新しい行事が「湖周天」 駆馬(かけうま)神事と呼ばれている。 龍が住むと信じられている池「水主城・みずもき」を馬で回走して行くのだが、かなりの難行とされていた。難行の理由は「水主城」とされている池の周囲には、走り易い道が無い。そこで、道を敷く作業から始めるのだ。 村にとっては大事業になってしまう。公資料には残っていないので、単なる伝承だと思ってもらうしかない。
師から聞いた駆馬についての言葉 「駆馬は龍神を動かして水気を呼ぶ。火気を抑えては水火を調え、人には司運を与える。星を結んでは個を現して、願いを具(つぶさ)に叶える試みを得意としている」 一聞、何のことか分からない。十代の私は呪文のように憶えて口にした。高校三年になって間もなく125ccのモーターバイクで琵琶湖を一周したことがある。雲の形が龍神に観えて、自分と一緒に移動しているかのようだった。それ以来、願ったことが叶うようになった。
琵琶湖を「水主城」とするならば、頼もしい大きさだ。昔は、大き過ぎて、駆馬神事を行えるような相手ではなかった。しかし今は違う。行政が湖周に道を敷いてくれた。駆馬は鉄馬によって長時間の走りができる。辰中三修(注一)も難しくはない。有難い時代になったものだ。写真は2013年2月2日投稿「優女着岸嬉話」で話題にしたハーレーの日本上陸100年モデル。
(注一)辰中三修(しんちゅうさんしゅう)辰は日を現すので、一日に三回の修法が可能なこと。つまり一日に三周、琵琶湖を回る。
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