存在と消滅は常に対向している。 若し、自由に存在し、自由に消滅出来たら、どんなに楽しいだろうか。 テレポーテーションは別の場所へ瞬時に移動をすることだが、これこそ「自由に存在し、自由に消滅」する技術だ。
テレポーテーションの原理を語るには現代物理学による。と、考えるのが知識人の常識だ。実際、原子レベルの転送は実現している。しかし此処で語るのは生物学としての転送原理なのだ。その主導者は四魂(注一)、一般で云う魂のことだ。
四魂の性質は其の規模と存在環境によって変化する。ある形態を保った四魂が物質世界に姿を現わすには、先ず存在環境を特定する。意識的に存在環境を特定することを「二処之絆を結ぶ」と云う。二処が結ばれれば、四魂は物質世界の生物として存在の営みを行うことができる。
人体創造の初発は、二処結絆(にしょけっぱん)を利用して試行錯誤を繰返した。ここでの主導者は大地の四魂。神話では、常立之神(とこたちのかみ)と呼ばれている。人体基本形態が完成した後は、その情報は四魂に格納された。そして(人体基本形態情報を持った)四魂が二処之絆を結べば、一人の人間が実体化する。神話では、これを降臨と云う。
全ての人間は(人体基本形態情報を持った)四魂を持っている。四魂に機能的主導権を委ね、人体に意識的主導権を残すことが出来た者は、二処の絆を結ぶことが可能になる。絆を結んだ二処には同時に存在し、彼方の存在に傾倒して此方を消滅させれば、此処から彼方へ(瞬時に)移動が出来る。
狂犬病ワクチンの発明者として有名なフランスの学者ルイ・パスツール(注二)は、生物の自然発生説を否定した。しかし私の「小説・生物学」の世界では、生物が自然発生することがある。「虫が涌く」と云う言葉どおり、条件が揃って二処結絆が成立すれば「何も無い処から虫が涌いてくる」のだ。
写真:鏡子の前に在るのは水槽だ。白点病の治療のため、金魚を薬浴させている。これは金魚と云う生物への存在支援である。
(注一)魂は、奇魂(くしみたま)幸魂(さきみたま)荒魂(あらみたま)和魂(にぎみたま)の四機によって構成されている。 (注二)Lous Pasteur 1822年12月27日〜1895年9月28日
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